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大阪とその周辺・中国地方の小旅行の記録です。
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51EHYTPRZJL__SS500_.jpgこれまで何となく避けてきた松本清張ですがなにげに読んでみた「渡された場面」にこのところ夢中です。
四国で起こったとある殺人事件。犯人は逮捕され、裁判が始まっている。そんな時、とある素人小説家の小説の一節が、その事件の舞台となった場面と酷似していた。そしてその場面を描写した一節は、現在裁判中の被告の有罪・無罪を決しうる重要な手がかりとなるだけではなく、予想もしなかった、まだ明るみになっていない、全く別の場所で起きた殺人事件に結びついて行く・・・という話。
ストーリーの面白さもさることながら、何度か尾道の描写が出てくるところが私のツボなのです。尾道は本筋とは全く関係なく、小説好きの登場人物が林芙美子の本を読んで自分のこれまでの境遇とシンクロさせ、行ったことのない尾道の風景は今自分が住んでいる町ときっと似ているところに違いないと想像し、思いにふける、といった具合。

また、四国と九州の交通手段について、尾道を経由して列車に乗るらしいのですが、その説明のためにここでも尾道の風景に触れている。

「朝早い船に乗ったので、尾道に着くまで海霧(ガス)の濃い中だった。
因島では尾道に架かった高い橋の下の横に造船所の起重機が塔を並べたように見えた。
霧が晴れて、陽が騒音の造船所に射していた。」


RIMG0092.JPG

それはきっとこのような風景に違いない・・・これは向島ですが。
清張は尾道が好きだったのかしら?九州が舞台の話がよくあるようなイメージだったけどなあ。
ちなみにこの写真、偶然撮ったんですが雲の隙間から光がさして起重機がそれに向かって手を差し伸べているようにも見えてちょっと素敵。救われないとわかっているけど救いの光にすがりたい、蜘蛛の糸のような・・・

この写真について文学的表現をしたいけど、気の利いた文章を思いつかず、これといった例えもなく、それどころか何となくエヴァンゲリオンを想像してしまった自分のアニメ脳をどうにかしたい。映画の「まごころを君に」の初号機が昇天するような場面とか・・・。
とか言いたいのではなく、「渡された場面」に出てくる尾道の描写にたまらなく郷愁を感じ、また行きたくなっている・・・という事が私は言いたかったのである。

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